2010/01/29

なぜ人を殺してはいけないのか?


私は自分の史観とか人生観って音楽を通して構築してきたと思ってるのね(脆いが)。
構築のための語彙や論法は父から授かったと感謝している。

もちろん、故清志郎氏やジョン・レノン、ボブ・マーリーの詩の中から
学んだものもあるし、曲調から感じ取った(と錯覚した)感情もある。

濫用される「グルーブ」って音楽用語があってさ、ソウルやファンクによく当てはめられる言葉なんだけど、例えば”Sly & The Family Stone”や”Graham Central Station”は
GROOVEってフォルダを作ってそこにツッコミたい、私は。


どういう意味?辞書によると「溝」という和訳を充てられる。
「グルーブ」って言葉を俺なりに定義してみるね。
「グルーブ」ってのは溝。レコードの溝。音楽の溝。と仮定。

では音楽の溝って何だ?
バンドにはドラムがいてリズムを刻む。
人間だからメトロノームとはコンマ何秒か、ズレる、ズラす。

メトロノームと重なるリズムをジャストって呼んでんだけど、コンピュータで創った初期の音楽なんかそうだね。
最近は微妙にジャストからズラしてグルーヴ感を表現するソフトなんかもあるらしいね、おそるべしコンピュータ。

その上にリズムと流れを担当するベースが乗っかる。
これも人間だからジャストより微妙に速かったり、遅かったりする。
意識的にズラしてドライヴ感や「ため」をつくったりもする。

そこにウワモノ(ギターやら歌やらラッパやラッパーやら)がのっかる。

この各自のほんのコンマ何秒のズレが全体音にウネリを与えて、その場の空気を
震わせる瞬間があるんだ。スタジオ内の空気が一気に横に揺れる。

リズム、ハーモニクス、音の波が急に分厚くなる。

私は3人バンドだったから、それが来た瞬間、他の二人と目が合うんだ。
んでニヤッとすんの。きたねぇ、みたいな。それが溝に落ちた瞬間。

そこからは緊張感。その溝にハマッた途端、バンドの音が気持ち良くて抜けられなくなってしまう。Eの即興で始まった曲が一時間も続くこともある。うねるうねる。

私は、いつからか「グルーブ」って言葉で世界を考えるようになった。
地球は、大地と海のリズム(きっと海流や波や潮汐や)で刻まれていて
そこにはとびきりCPUの速い人がいてHDDをヒュンヒュン回してたり
様々な肌の色や目の色や文化の人を大切に生きる人がいたり
体のどこかが不自由な人、心が自由じゃない人、お年寄りや、それに子供という名前の未来がいてみんなジャストじゃない独自の個性というリズムで生きているんじゃないのかな。

みんなで地球を「グルーブ」させてる。

私自身もおのれというアベレージイエローな立場でジャストから微妙に(かなり?)
ズレてステップする楽器のいっこだ。

心臓もリズムを打ってないと死んじゃうしね。関係ないか。

個人のリズムは「グルーブ」を構築する原点。
だから簡単に自分を殺したり他人を殺したりしたらいけないね。
世界の「グルーブ」に歪みがくる。

「グルーブ」の中はそこにずっといても不自由じゃない。不協和音だって和音なんだし。
「グルーブ」は全て飲み込んで私も飲み込んで「グルーブ」なんだもの。

'98年に"なぜ人を殺してはいけないのか?"というテーマについて、子供に返答できない
大人が晒された。んじゃあ自分はどう答えるんだろう、と思い書き連ねた文章です。

もちろん、これが正解だとも思っていません。